日本という島国は本当に安全で、平和で、幸せな国だ。
一度も海外に住んだことがない私は、この島国を出るまで、本当の意味での”日本の今”に気づけなかった。
NYに移住してから、ふと思った。コリアンタウンも、チャイナタウンもマンハッタン内に存在するのに、なぜジャパニーズタウンはどこにもないのか?
それは在米日本人がどんどん減少しているという、人口の問題ではない。自分の国だけに留まらず、世界で勝負して、幸せになってやる!という気概と勢いの違いだ。
今年2月にアメリカ人の友達と一緒に、信じられないくらい大きなピザを囲みながら、アカデミー賞授賞式をリアルタイムで視聴した。
そこでアメリカ人や中国人の友達が口々に「今年はパラサイトだ!」と叫んでいる。その時点で私はその映画の名前すら知らなかった。
そして、前代未聞のアジア発の映画が作品賞を受賞。韓国のエンターテイメントにかける意地を世界に見せつけた。
そういえば、2020年を迎える年末カウントダウンでタイムズスクエアに登場したのは、、、BTSだった!
前年はクリスティーナ・アギレラだ。ここにアジア人のアーティストが立つなんて、本当に快挙だ。
そして、そうこうしている間に、Netflixで韓国ドラマが大爆発するわけだから、コロナすらも追い風にするのかと泣けてくる。
こうして、韓国のスゴさに打ちのめされて、日本のエンタメ業界で働いていた私は愕然としたわけだ。一体、日本の誰がここに立てるか?どの映画がオスカーを獲れるか?と。
日本のエンターテイメントも素晴らしいはずだ。才能溢れるアーティストに何人もお会いしたことがあるし、撮影技術も卓越している。
ただ、この島国を出ようとしている人が少ない。
この映画でハリウッドを驚かせようと、ハリウッドに人脈を作り、売り込み、世界的ヒットを目指したり、世界でこの曲を売ろうと、鬼のような戦略を立てて、日本を飛び出るプロモーターもいない。この島の中で有名になれば、なんだか安心してしまうようだ。それなりに稼ぐことも出来る。英語を使う必要もない。自分たちでやれる範囲で、楽しく生きられる。それが日本だ。
そして、いつしか、到底短期間では埋められない差を叩き出されて、世界に遅れをとっていくのも日本かもしれない。
結局、英語の能力とアメリカで活躍するロールモデルが少なすぎるからだよな、、、とそんなことをぼんやり考えていた矢先に、
NYで出会ったビジネスマンが私と同じ気持ちを有しており、海外に出て行く人材を育成する芸能エージェントを設立した。
なんて運命的なんだ。タイムリーなんだ。心動かされないわけがない。
あと何年かかるか分からないプロジェクトだが、私のはこの波に乗ることにした。初めて日本人としてのアイデンティティーを感じ、アメリカに相手にされていないことが悔しかった私は、日本のエンタメ業界に一石を投じる一味に加わろうとしている。
(韓国人はなぜあんなに焼酎を飲むのか、不思議でならない。)